からだの免疫機能を向上させる正しい方法
- yuuki suzuki
- 2021年8月12日
- 読了時間: 7分
更新日:2021年9月24日

免疫、免疫力、というキーワードを、昨年から様々なメディアで目にするようになりました。
ある食品を摂取すると免疫力があがる、発酵食品を常食すると免疫力があがる、ワクチンを接種すると特定のウイルスに対して感染しづらくなる、重症化しづらくなる免疫を獲得できる、というものがほとんどです。
でも本当はそれだけ(一つの実践)で、きちんと免疫力が高まるとは考えにくいのです。
(免疫力という単語も俗称のようなものですから、厳密に言うと医学的に正しい用語ではないようです。)
なぜなら免疫機能というのは、からだの様々な器官、臓器、細胞などの連携プレーで構成されるものなので、何か一つの事をしたからと言って飛躍的にあがるというのは考えにくいからです。
様々な疾病に感染するリスクを下げ、からだを健康な状態に保つためには、まずは、からだの中で免疫機能がそのように作られていくのか、そのメカニズムを頭に入れておきましょう。
免疫機能とは?
自然免疫、獲得免疫の2種類があり、免疫機能という単語の意味は、疫(疫=細菌、ウイルス)から、免(免れる)、機能(からだの中の様々な器官)のこと。からだ(体の様々な器官)を攻撃する様々な物質から、防御する機能(システム)の総称です。
では、免疫とはからだの、どこの臓器、器官によって機能するものなのでしょうか。
免疫機能に関わる密接に関わる、器官、臓器
免疫機能に関連している主な臓器、器官は、胸腺、骨髄、リンパ節、脾臓、パイエル板などです。
もちろん、免疫機能には、これら以外にも様々な臓器の連携システムが複雑に関係しています。アレルギー性疾患などは自己免疫機能の暴走とも言われており、未だ根治は難しいとされております。あくまで、ここでは免疫機能の向上を図るにはという事に特化して説明させていただきます。
●胸腺
多くの抗原を処理するT細胞を作る器官。
●骨髄
多くの免疫細胞が生まれる。(特に胸骨腸骨)
●リンパ節
からだの重要な器官に点在。細菌、ウイルスの抗原をブロック。首、わきの下、鼠径部、にあるものが知られていますが、内臓の周辺など重要な箇所に存在する。*細菌、ウイルスなどの外敵が体内に侵入するとリンパ節が、腫れたり、しこりになったりすることも。そうなるとリンパ液の流れが滞りがち(緩慢)になり、浮腫みなどの原因にもなります。
●脾臓
血液循環を調整し、抗原をT・B(リンパ球の一種)細胞によって処理する。
*一昔前は、脾臓が不用な臓器だと思われていた時代がありましたが、現在では脾臓の働きが活発な人は、心筋梗塞など、からだに急性的な緊急事態が生じた時に生存率が高くなる事などがわかっており、重要な臓器だという認識に変わっています。
●パイエル板
小腸の粘膜固有層にリンパ小節が平面上に集合していることが明らかになり、このリンパ小節による平板状のリンパ組織がパイエル板と呼ばれるようになった。現在は腸管免疫とよばれ、食物アレルギーをはじめ多くのアレルギーとの関連性も明確になってきている。哺乳類の免疫器官の1つ。免疫細胞とM細胞が抗原を処理。
*この器官が、からだの免疫に深くかかわっている事が判明してから、免疫力をあげるためのプロバイオティクス、ヨーグルトなどの商品が発売されています。
*B細胞
免疫細胞であるリンパ球(Lymphocyte)の一種で、抗体を介した免疫応答である体液性免疫(humoral immunity)において、抗体を産出する重要な役割を担う細胞。
*T細胞
リンパ球の一種で、骨髄で産生された前駆細胞が胸腺での選択を経て分化成熟したもの。細胞表面に特徴的なT細胞受容体を有している。末梢血中のリンパ球の70〜80%を占める。名前の『T』は胸腺を意味するThymusに由来する。
*M細胞
パイエル板を覆う濾胞被蓋上皮の吸収上皮細胞間に散在する細胞である。膜状の微絨毛を有する。M細胞において細菌やウイルスの取り込みが観察されていることから、M細胞は消化管の免疫に関与していると考えられている。なお、赤痢菌は、このM細胞に侵入することが知られている。
各器官の免疫機能を連携させている重要な細胞
マクロファージは、血中、皮膚、骨、筋肉、脳、肝臓、腎臓、小腸、大腸など体の全ての場所で病原体(異常細胞、異物、外敵)を処理してくれる重要な細胞です。免疫機能の要ともいえる細胞がマクロファージなのです。
造血幹細胞から分化した単球白血球(白血球の5%を占める)が骨髄で成熟し、血流に入ると炎症の化学仲介物質となります。単球は数日間(2~3日)血中に滞在した後、血管壁を通り抜けて組織内に入りマクロファージへと変化を遂げます。
マクロファージの大きさは20~50μm(1μm=1/1,000mm)、白血球の中では最も大きいことから、(マクロ=大きい、ファージ=食べる)という名称が付けられました。免疫細胞の樹状細胞とほぼ同様の大きさ。
マクロファージを活性化する「LPS(リポポリサッカライド)」と呼ばれる物質が発見されています。
免疫機能がどのようなシステムで機能しているかという事が何となく、イメージできましたでしょうか。理解とまでいかなくとも、「あー、そうなの」と思っていただければ充分です。
免疫機能システムを向上させる正しい方法
生活習慣、食生活の見直しで体内環境を改善して免疫機能を向上させるケア方法
1. 免疫機能をあげるための基本ケア
① 滞りを改善するケア
・軽い運動、ウォーキングなどでからだを動かす習慣をつける。
・毎日、入浴することを心がける。(シャワーだけでなく、バスタブにしっかり浸かる習慣を)
・鎖骨の上、わきの下、鼠径部、などにあるリンパ節を軽く揉み解す習慣をつける(リンパドレナージュ)
*リンパの流れを促しましょう、リンパの流れを促すためには血流促進が大きな助けになります。
② 血液の巡りを改善するケア
・クエン酸が含有する食品を積極的に摂る。(梅、柑橘類、黒酢)
・ハトムギを常食する。(ご飯に混ぜて炊く、ハトムギ茶を飲む、ハトムギシリアルを食するなど)
*脾臓に対して、西洋医学では強化することは不可能とされていますが、東洋医学ではハトムギ(ヨクイニン)、天然のクエン酸でその機能を向上することができるとされております*
③腸内環境を改善するケア
・不溶性食物繊維を毎朝しっかり摂る。
・腸内の有用菌の餌になるオリゴ糖を摂る。(たまねぎスープ、甜菜糖、などに多く含まれる)
・酵素が含まれる果物、生野菜を摂る。(キャベツ、大根、キイウィ、パイナップル、パパイヤなど)
・ぬか漬け、キムチ、甘酒、塩麹などの発酵食品を常食する。
*プロバイオティクス、ヨーグルトなどを摂取する習慣をつける事も有益ですが、まずは腸管内を綺麗に保つ事がより重要です。
アレルゲンになる可能性があるものは避け、ここではそれ以外の発酵食品を推奨しております*

④マクロファージを活性化するためのケア
◎フィトケミカルを含有する7色の野菜、果物を摂る事を目指しましょう。
赤・黄・緑・黄緑・白・橙・紫。

7色の野菜、果物を摂る事でマクロファージを活性化するフィトケミカルがバランス良く摂取することができます。
◎野菜が苦手の方、摂りづらい方は、LPSが多く含まれる以下の食品いずれかを常食しましょう。
・海藻類(昆布、わかめ、海苔、もずく)・キノコ類(特にヒラタケ、きくらげ、マイタケ)・胡麻・くるみ
マクロファージを活性化する「LPS(リポポリサッカライド)」と呼ばれる物質が発見され、フィトケミカル1000倍のマクロファージ活性力を持つ。
*「糖脂質」あるいは「リポ多糖」と呼ばれ、英名「Lipopolysaccharide」を略してLPSと略称されている。
免疫器官を向上させるためには、からだ内部の免疫システムを構築することが重要です。
まずは4つの基本ケアをしっかり行いましょう。

2. 免疫機能を向上するための5つの生活習慣
①常にからだの巡りを良くしておくために水をこまめに摂取する。
(水道水であればカルキを除去する浄水器を通したもの、お好みで軟水でも、硬水でもOK)

②からだ全体のリカバリーのために充分な睡眠を摂る。(6時間以上)
③ストレスケアのために1時間はリラックスできる時間を作る。(好きな事ができる時間)
④恒常性を整えるために一日数時間は太陽光を浴びる。(しっかり紫外線対策をした上で)
⑤リスク回避効果が期待できるお茶類(緑茶、紅茶、ほうじ茶)を積極的に摂る。
どうでしょう、
「こんなに色々な事できるわけないじゃない」という声が聞こえてきそうですが、
まずは、基本ケア4項目、生活習慣の改善5項目を何となく頭の中に入れておいて、意識の中に刷り込んでみてください、そして実践できる事から一つ一つはじめてみてください。
細菌やウイルスなどの外敵からからだを守る力・免疫機能を向上させるだけでなく、ストレスの軽減、重篤な疾病リスクの軽減、肥満解消、生活習慣病予防などにも繋がりますので、体調管理、生活の質の向上にも役立つ習慣です。
いろいろなリスクを心配し、不安であり続ける事は、体内環境をより悪くしてしまう原因にもなり得ます。
もちろん過信は禁物ですが、自分にできる事をしっかり実践して、これで大丈夫という自信をもって日々を健やかに、
心穏やかに過ごしたいものです。今や、自助努力や意識を高く持つ事が重要な鍵になります。
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